審議会等のあり方・進め方

提供開始:平成17年(2005年)7月1日

平成17年6月15日、富士見市総合政策部政策推進室へ提言。

Webでの提供にあたって
はじめに
議論の対象・方向性
名誉職の集まりから市民参加の場へ−市民参加を深める−
委員参加から市民参加へ−市民参加を広げる−
会議の公開等↓/拡大懇談会・出前懇談会の開催↓/意見等の公募↓)

●Webでの提供にあたって

これは、富士見市市民参加及び協働推進市民懇談会のあり方・進め方と題し、平成17年(2005年)6月15日、富士見市総合政策部政策推進室へ提言したものです。審議会等のあり方・進め方と題を改めたのは、同懇談会だけでなく、審議会等の運営一般に通ずることが少なからず含まれているからです。

審議会等は形骸化や委員の名誉職化が指摘されますが、その運用によっては、市民参加の中核的システムになりうると思い至りました。この提言が、審議会等改革の一助となれば幸いです。

審議会等は、その設置の必要性、委員の構成・人数・選任方法、会議の議題・回数等から市民参加で検討する必要があります。

しかし、ここでは、その多くを所与の条件としています。同懇談会の委員は、団体推薦7人、公募4人の計11人で、1回2時間程度、年3回開催予定です。委員は全員公募の方がよいと思いますが(無作為に選ばれた市民の参画もよいですが)、既に選任されているので、それを受け入れています。年3回6時間程度では、名誉職の集まりには最初から期待していないとでもいうような少なさですが、とりあえず、それに従っています。

会議の具体的な進め方等については、十分に述べることができていない点もあるので、例えば、次のような本もご参照ください。

会議の技法 チームワークがひらく発想の新次元
2000年2月・吉田新一郎著・中央公論新社・中公新書・235頁
効率的・効果的・創造的な会議の運営方法を紹介。

ファシリテーション入門
2004年7月・堀公俊著・日本経済新聞社・日経文庫・196頁
会議、プロジェクト等で、組織の力を引き出す技術を紹介。

当サイト内市民参加・協働の論点では、審議会等を含む市民参加・協働の見方・考え方を私なりに整理しています。

同懇談会の動向等については、@富士見市(fujimic.at.infoseek.co.jp/)の富士見市コミュニティフォーラム(FCF)で、お知らせしています。

なお、「名誉職の集まりから市民参加の場へ−市民参加を深める−」の末尾で特定の委員に言及している部分を削除してあります。秘匿すべきことではありませんが、積極的な公開は避けた方が無難かと思われるからです。ご了承ください。

●はじめに

富士見市市民参加及び協働推進市民懇談会(以下「本会」という。)を1回開くのに要する経費は、職員の時間外勤務手当、資料代、お茶代のほか、開催通知・資料・会議録の作成等、会議前後の作業の人件費・物件費を含め、2万円以上と思われる。平成17年度からは、委員謝礼11000円(1000円×11人)が加わり、3万円以上になる。

年3回で、9万円以上。それだけあれば、図書館では、2000円の本を45冊以上購入できる。その他さまざまな選択肢をあきらめて、本会を開くのである。

市民にとってそれだけの価値があるものとなるよう、それ以上の価値があるものとなるよう、本会を運営していく必要がある。

●議論の対象・方向性

事務局は、協働を主に市民ボランティアによる事業の実施ととらえ、その具体案の検討を主な議題に据えたいようである。確かに、厳しい財政状況の中で、山積する地域課題を解決していくには、市民と行政との協働による低コスト・高パフォーマンスの新規事業の創出が急務であるといえよう。

しかし、それは同時に、協働の名を借りた安価な労働力の下請けによる事業の実施と化する危険性をはらんでいる。協働をより幅広くとらえ、事案に応じ、どのような方法を選択するのが最適かが問われるべきであろう。

例えば、埼玉県では、協働方法として、主に次の六つを想定している。
(1)政策立案・事業企画等への参画
(2)情報交換、意見交換等
(3)委託
(4)事業共催
(5)事業協力
(6)補助

NPO・ボランティア(埼玉県)www.pref.saitama.lg.jp/A01/BQ00/npo/npo-hp-top.htm
埼玉県総務部NPO活動推進課提供。

NPOとの協働・始めの一歩 −自治体職員向け実務手引書−(埼玉県)www.pref.saitama.lg.jp/A01/BQ00/npo/npo-tebiki-1.pdf
平成15年3月・埼玉県総務部県民生活課・A4・65頁(68頁)・PDF形式・906KB。25頁(28/68頁)等参照。

そもそも、推進すべきは、まちづくり−公共の福祉の実現・増進−であって、協働ではない。まちづくりを進めるにあたり、事案に応じて、市民と行政とがいかにかかわりあうか、市民独自の活動によるか、行政独自の活動によるか、市民と行政との協働によるか、が問われるのである。はじめに協働ありきではない。

また、まちづくりの専門機関である行政の意思形成過程・政策形成過程へ市民がいかにかかわるか、市民参加をいかに進めるかが問われるところである。

情報の共有なくして、参加・協働なし。まちづくりに関する情報をいかに共有するかも重要な論点である。情報の共有により、問題意識や思いの共有、まちづくりの理念・目標への共感・共鳴が広がらなければ、参加・協働する市民がおらず、市民参加・協働のまちづくりは、おぼつかないであろう。

取り組むべき事案は、既に、富士見市総合計画第4次基本構想・前期基本計画をはじめとする諸計画に満載されている。諸計画に明文化されていない課題もあろう。

他方、まちづくりの担い手となる市民がどれほどいるかが問題である。人数等だけでなく、力量等の問題が含まれる。市民と行政とが対等なパートナーシップを築くには、市民のエンパワーメントが必要であり、市民活動支援、学習支援のあり方も問われるであろう。

先行的・実験的なモデル事業の検討も必要ではあるが、それは主に拡大懇談会・出前懇談会、当該事業の関連分野の審議会等で、当該事業に実際にかかわりたい市民、当該事業の関連分野に関心のある市民等に委ねる方がよい。

本会では、中長期的・総合的な観点から、まちづくりの諸分野に共通する市民参加・協働の通論の構築、市民参加・協働のグランドデザインの議論が必要と思われる。本会に与えられた時間は、きわめて限られているが。

●名誉職の集まりから市民参加の場へ−市民参加を深める−

本会の運営にあたっては、委員一人ひとりの意欲・能力を最大限に引き出していく必要がある。

事務局は、会議の数週間前までに、開催通知と資料を委員へ送付する。資料の準備が遅れた場合は、速報・概要版を送付し、会議当日に、完全な資料を配布する。

事務局からの資料説明の時間は、最小限に抑える。委員から事務局への質問、意見等だけでなく、委員相互の情報交換や議論を促進する。

議長は、委員の発言を促すとともに、各委員の発言時間ができる限り均等になるよう留意する。発言の少ない委員に対しては、漠然と意見等を求めるだけでなく、発言しやすくなるような具体的な発問を投げかける。

協働事業の検討の際等には、本会設置要綱第6条(会議)第2項の規定を積極的に活用し、当該事業の関連分野の市民団体関係者等の出席を求め、意見等を聴くものとする(同項の規定の主語が「委員会は、」となっているが、「市民懇談会は、」又は「委員長は、」の誤りであろう。)。

会議の時間は限られているので、文書での積極的な意見等提出も求めていく。

団体から推薦された委員に対しては、個人的な意見等だけでなく、市民参加・協働の観点からの当該団体の現状と課題の提示、当該団体関係者の意見等の集約を求める。公募による委員からも、十分、知恵を絞り取っていく。

青少年、女性、障害者、外国人等の参加・協働のあり方・進め方について、関連分野の団体推薦委員等に意見等提出を求める。

小学校区、中学校区程度の広さの身近な地域からのまちづくりのあり方・進め方について、意見等提出を求める。

●委員参加から市民参加へ−市民参加を広げる−

会議の公開等↓/拡大懇談会・出前懇談会の開催↓/意見等の公募

◆会議の公開等

速やかに、年間の会議日程等を公表する。また、開催通知等の委員への送付と同時に、その日時、場所、議題、資料等を公表する。公表の方法は、広報紙、Webサイト、公共施設での掲示・資料配布等による。

傍聴者に氏名、住所等の記帳は求めず、その人数だけを記録する。同じ用紙に複数の者が氏名等を記入する方式は、個人情報が漏洩するおそれがある。そもそも、傍聴者の氏名等を把握する必要はないと思われる。本会傍聴要綱第2条(受付)に傍聴者は「受付簿に自己の住所及び氏名を記入」することと定められているが、具体的な必要性なく慣行に従い設けられたこの規定は、富士見市個人情報保護条例第6条(収集の制限)に抵触する疑いがある。

傍聴者には、原則として、委員と同一の資料を配布する。最低限、会議の次第と資料名の一覧は配布する。多くの傍聴を見込めない場合、数組程度の資料を用意し、次第等は余分に用意する。想定以上の傍聴があった場合には、先着順等により、一部の傍聴者だけに資料を配布することもやむを得ない。ただし、閲覧、複写できることを教示する。資料の余部は、次回以降の傍聴者のうち希望者に配布する等により処分する。

傍聴者からの質問、意見等を聴く機会を設ける。受付時又は開会時に、その機会があることを教示する。

会議録には、その日時、場所、出席者名(委員、事務局等。)、傍聴人数、議題、資料名、内容等を記載する。会議の内容は、議会の会議録並みに、正確かつ詳細に記録することが望ましい。それが困難な場合でも、会議1分間当たり数十字以上の記録に努める。会議録等は、個別の要求に応じて公開するだけでなく、Webサイト等でも公開する。

◆拡大懇談会・出前懇談会の開催

できる限り早い時期に、だれもが自由に参加できる拡大懇談会又は出前懇談会(いずれも仮称)を開催する。説明会・公聴会形式のほか、ワークショップ形式等も考えられる。本会運営の参考にするため、委員の全部又は一部が出席する。1年間に、複数回開催することが望ましい。

開催の数週間前までに、その日時、場所、内容等を告知する。告知の方法は、広報紙、Webサイト、公共施設・鉄道駅等での掲示・ちらし配布等による。特に必要があれば、開催案内を市民団体等へ送付する。

個人情報の保護のため、参加者に氏名、住所等の記帳は求めず、その人数だけを記録する。

次第その他の資料を配布するほか、本会会議の傍聴者のために用意した資料の余部があれば、希望者に配布する。

時間は限られているので、文書での積極的な意見等提出も呼びかける。

その日時、場所、主催者側の出席者名、参加人数、主題、資料名、内容等を記録する。その記録等は、個別の要求に応じて公開するだけでなく、Webサイト等でも公開する。

◆意見等の公募

できる限り早い時期に、意見等を公募する。常時、市民参加・協働一般について募集するほか、期間を設け、特定の課題を示して募集する。公募の方法は、拡大懇談会・出前懇談会の開催告知の方法に準ずる。

協働事業の検討にあたっては、行政からの事業提案に対する意見や事業参加者を募集するだけでなく、市民からの事業提案も募集する必要があろう。

原則として、応募者の属性(市内在住等)は問わず、匿名でも内容があれば受理する。

提出された意見等は、本会運営の参考にする。また、個別の要求に応じて公開するだけでなく、Webサイト等でも公開する。その際、当該意見等に対する市の見解を付すことが望ましい。

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