富士見市市民参加・協働推進方策私案

提供開始:平成19年(2007年)1月31日

平成19年1月22日、富士見市総合政策部政策推進室へ提言。

Webでの提供にあたって
市民活動・学習の支援↓(まちづくり・市政に関する学習機会の提供↓/まちづくり・市政に関する情報の提供↓/市民活動の支援↓)
市民参加・協働の推進↓(調査研究過程↓/企画立案・意思決定過程↓/実施・評価過程↓)
推進体制
富士見市の現状と問題点↓(人づかいあって人づくりなし↓/総合政策部あって総合政策なし↓/委員参加あって市民参加なし↓/委員参加もなし?↓)

●Webでの提供にあたって

これは、平成19年1月22日、富士見市総合政策部政策推進室へ提言したものです。「市民参加・協働の論点」(平成17年6月28日提出)が、考え方の基礎になっています。

富士見市の市民参加・協働推進動向については、@富士見市(fujimic.at.infoseek.co.jp/)の富士見市コミュニティフォーラム(FCF)で、お知らせしています。

●市民活動・学習の支援

☆基本的な考え方

「富士見市のことをもっと知りたい、もっとよいまちにしていきたい、という人を応援します!」

市民参加・協働推進の前提として、市民のエンパワーメント、市民がまちづくりの担い手として力をつけていくことが必要である。市は、市民がより活動・参加しやすい環境を整備する。市民参加・協働による環境整備も考えられる。

まちづくり・市政に関する学習機会の提供↓/まちづくり・市政に関する情報の提供↓/市民活動の支援

◆まちづくり・市政に関する学習機会の提供

まちづくり・市政について、いつでも、どこでも、だれでも、何でも学習できるよう、多様な情報メディア(空間系・輸送系・電気通信系)を活用し、学習機会を提供する。

☆学習カリキュラムの企画・開発
まちづくり・市政(総論・通論・各論)に関する学習カリキュラムを企画・開発する。総論は、まちづくり・市政(通論・各論)の概略について、例えば数時間程度で学べる内容。通論は、市民活動(NPO概説を含む)、市民参加・協働、法規(自治基本条例概説を含む)、行政計画、行政組織、行政評価、財政・予算、電子自治体・情報政策等について、各論は、都市計画・基盤整備、経済・産業、コミュニティ・共生・福祉、生涯学習・教育・文化・スポーツ、自然・環境等について、それぞれ例えば数時間程度で学べる内容。

☆学習講座の開設等
学習カリキュラムを具現化する学習講座を開設する。講義を聴く形式だけでなく、文献等による調査、討論、レポートの作成・発表等を取り入れる。受講人数は限られるので、講座の記録・資料をビデオテープ、印刷物、Webサイト等で提供し、より多くの市民の学習に資する。

【出前講座のよしあし】
学習講座は主催者が指定した日時・場所に受講者が出向く必要があるが、いわゆる出前講座は、受講者が日時・場所を主催者と調整できるので、時間的・空間的制約は小さい(いつでも、どこでも学べる)。出前講座は、受講者が10人以上、20人以上等、一定数まとまって申し込むのが通例なので、個人では受講しづらく、団体向けの学習機会である(だれでも学べるかは疑問)。

◆まちづくり・市政に関する情報の提供

だれもが自由に参加できる説明会等の開催や、広報紙、Webサイト等により、まちづくり・市政に関する情報を積極的に提供する。

【情報は受け手に依存する】
情報は、受け手の関心、予備知識等によって受け取られ方が異なる。視れども見えず、聴けども聞こえず、話が見えないということもある。まちづくり・市政に関する学習機会の提供により、断片的な情報を読み解くための体系的な情報を提供し、まちづくり・市政に対する市民の見る目・聞く耳を養っておく必要があろう。

◆市民活動の支援

個人によるボランティア活動等、特定非営利活動法人その他の市民団体(NPO)による公益的活動、コミュニティビジネス等を支援する。

☆情報・学習機会の提供、助言・相談等
例えば、次のようなことについて、情報・学習機会の提供、助言・相談等を行う。
個人ボランティア等(市民参加・協働を含む)の活動機会、活動方法等。
特定非営利活動法人その他の市民団体(NPO)の活動状況、参加方法等。
特定非営利活動法人その他の市民団体(NPO)の設立・運営方法等。
コミュニティビジネスの起業・事業展開等。

☆市民相互の協働・ネットワーク化
同分野・異分野で活動する団体等の交流、協働、ネットワーク化を促進する。

☆市民活動資金の支援
特定非営利活動法人その他の市民団体(NPO)の収益事業や市民からの寄付の促進により、団体独自の資金調達力の強化を図るとともに、税制、基金、補助、業務委託等による支援策を講じる。

【直接支援と間接支援】
市民活動・学習の支援には、市が直接行う直接支援のほか、国、県、民間団体等が行う支援活動を紹介する間接支援がある。

●市民参加・協働の推進

まちづくり・市政の総論・通論・各論について、政策階層、意思形成過程・政策形成過程の各段階において、市民と行政が議論し、実践する場、参加・協働システムの再構築が必要である。
 *通論 まちづくり・市政の諸分野に共通することがら。
  縦割りの各論に対し、横割り。情報の共有、市民参加、協働等。
 *各論 都市計画・基盤整備、経済・産業、コミュニティ・共生・福祉、
  生涯学習・教育・文化・スポーツ、自然・環境等。
 *政策階層(政策レベル)
  政策−施策−事務事業(大主題・抽象的課題−小主題・具体的課題)
 *意思形成過程・政策形成過程
  調査研究→企画立案→意思決定→実施→評価
  実際には、このように単純、直線的ではない。

調査研究過程↓/企画立案・意思決定過程↓/実施・評価過程

◆調査研究過程

「市民参加・協働の論点」(平成17年6月28日提出)の「学習から始める市民参加」参照。

◆企画立案・意思決定過程

条例制定、計画策定等の作業開始にあたって、だれもが自由に参加できる説明会等の開催や、広報紙、Webサイト等での情報提供により、その趣旨、日程、審議会等の委員の公募等について周知する。

審議会等の会議日程、会議内容、会議資料等は、Webサイト等も活用し、迅速かつ積極的に公開する。

だれもが自由に参加できる説明会、公聴会等や意見等の公募等を随時行うことにより、全市民的な議論を促進する。意思決定の直前だけではなく、例えば、審議会等が月1回開催される場合、数か月に1回程度は、説明会、公聴会等を開催することが望ましい。

◆実施・評価過程

だれもが自由に参加できる説明会等の開催や、広報紙、Webサイト等での情報提供により、実施状況・評価について周知するとともに、意見等を求め、全市民的な監視・参加を促進する。

会議室型(議論型)・現場型(実践型)の市民参加組織を設けて、相互に連携する。例えば、計画の進捗監視・評価にあたる計画推進委員会、個別事業の企画・運営にあたる事業運営委員会等である。それらの会議日程、会議内容、会議資料等は、Webサイト等も活用し、迅速かつ積極的に公開する。

☆計画策定・推進体制
計画策定過程
↓  計画策定委員会等 計画案の企画・検討。
計画実施・評価過程
   計画推進委員会等 計画の進捗監視・評価。
   事業運営委員会等 個別事業の企画・運営。

●推進体制

☆総合窓口・地域窓口・電子窓口の整備
市役所に、市民活動・学習支援と市民参加・協働推進のための総合窓口を、市民交流センター、コミュニティセンター、公民館等に、その地域窓口を、それぞれ整備する。市公式サイトで、市民活動・学習支援と市民参加・協働に関する情報・学習機会の提供、助言・相談等を行い、電子窓口とする。

☆庁内推進組織・市民参加組織等
本提言の趣旨にのっとり見直す必要がある。

●富士見市の現状と問題点

人づかいあって人づくりなし↓/総合政策部あって総合政策なし↓/委員参加あって市民参加なし↓/委員参加もなし?

◆人づかいあって人づくりなし

市民と行政の「協働」による市民ボランティアを活用した行政経費の削減が主眼となり、「まちづくりは人づくり」という視点が希薄なように思われる。

市民参加・協働のまちづくりを進めるためには、市民一人ひとりの意欲・能力を最大限に引き出し、自ら考え、行動できる市民を増やしていくことが肝要である。個別事業の要員養成だけではなく、まちづくり・市政に関する総合的な学習機会を提供したり、市民相互の協働・ネットワーク化を促進したりして、個人的・集団的力量を発達させる必要があろう。

また、協働事業については、行政から市民へ提案するだけでは、対等の立場での相互協力といえないであろう。市民から行政へ提案する機会や、市民と行政が白紙の状態から意見交換する場を設けるべきである。行政が必要とする事業と市民が必要とする事業の食い違い、需要と供給のミスマッチも起こりうる。

◆総合政策部あって総合政策なし

それぞれの審議会等や協働事業等は、それぞれの経緯で生まれ、縦割りで運営されている。分野ごとの過不足、相互の連携等、総合的な視点から見直し、再構築する必要がある。

◆委員参加あって市民参加なし

だれもが自由に参加できる説明会、公聴会等が、ほとんど開催されていない。情報提供が不十分で、市民意見提出手続(パブリックコメント)への応募も低調である。

企画立案過程の初期段階から、全市民的な参加を促進する取り組みが必要である。より多くの市民が、計画等を「自分たちが決めたもの」と認識できるようになれば、実施過程における参加・協働も促されやすいであろう。

◆委員参加もなし?

審議会等は、一部を除き、年数回程度の開催で、どの程度機能しているのか疑問である。計画策定過程では、ある程度開催されるが、実施・評価過程では、なおざりである(「計画書刊行事業」であるからか)。

実施・評価過程では、会議室型(議論型)・現場型(実践型)に分化する等により、計画策定過程以上に開催する必要があろう。

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