富士見市公式サイトのあり方

提供開始:平成22年(2010年)7月11日

平成22年7月11日、富士見市公式サイトのあるべき姿、整備・拡充の方向性の一端を提言。

Webでの提供にあたって
時系列的観点−リアルタイム性とアーカイブ性−
空間系列的観点−地域性−
主体系列的観点−行政・情報作成者の視点−
主体・主題系列的観点−市民・利用者の視点−

●Webでの提供にあたって

これは、平成22年(2010年)7月11日、富士見市秘書室秘書広報課へ提言したものです。大きく四つの観点、4点目でさらに三つの観点という、4+3の観点から、富士見市公式サイトのあるべき姿、整備・拡充の方向性の一端を提示しています。また、それぞれの観点から同日現在の現状評価を行っています。

富士見市公式サイトは、同年6月1日に全面リニューアルされました。改善の跡も見られますが、依然、あるべき姿からはほど遠い状況です。

この提言では言及し切れていない点も少なからずあるので、今後も随時、提言していきたいと思います。今後の提言については、@富士見市(fujimic.at.infoseek.co.jp/)の富士見市コミュニティフォーラム(FCF)に投稿していきます(FCF(2010年7〜9月@富士見市)以降)。まとまった分量の場合は、当サイトでご提供します。

●時系列的観点−リアルタイム性とアーカイブ性−

Webの特性を十分活かし、地域・行政の最新情報(今後の見通し・将来展望を含む)を提供するとともに、電子公文書館(アーカイブズ)、電子図書館(地域・行政資料コーナー)として、過去の情報も蓄積し、将来にわたって提供し続ける。

一般に、前者の必要性については認識されていると思われるが、後者の重要性については十分認識されていると言い難い。紙媒体は、10年前、20年前に作成されたものでも、主要な資料であれば、どこかで保存され、利用できるが、Webページは、しばしば短期間で改変・削除されたり、場所(URL)を移動されたりする。

長期的な展望に立って、サイトを設計・構築し、同じ内容のものを同じ場所で提供し続けることも重要である。視覚的なデザインの変更等は一定期間で行うとしても、サイトの基本構造は変更せずに済むようにする必要がある。言うなれば、数年で取り壊される仮設住宅のようなサイトではなく、多少リフォームすれば、百年以上住める家のようなサイトを構築すべきである。

【現状評価】

富士見市公式サイトも開設から10年近く経過し、更新・充実が図られてきている面もあるが、あるべき姿からはほど遠い状況である。

前者については、例えば、富士見市基本構想審議会は、平成22年3月19日から6月28日までに5回開催されているが、その会議録等は、7月11日現在、いずれも未掲載である。会議録は、その会議中に記録・作成し、会議当日中又は翌日にも掲載することが望ましい。また、会議資料は、会議当日に配付されるものはその日に、事前に委員へ送付されるものはその発送日に掲載する。

後者については、例えば、過去の施政方針、教育要覧、選挙結果等は削除されている。過去の市政についても調査・検証できるようにする必要がある。

また、開設以来、数回、全面リニューアルし、そのたびに、ほとんどのページがアクセスできなくなっている。利用者はそのたびに移動先を探さなければならなくなる。検索エンジンは、リニューアル後しばらく、新しいページが登録されない。

●空間系列的観点−地域性−

富士見市全域的な視点からだけでなく、身近な地域の視点から関連情報にアクセスできるようにする。ふじみ野、鶴瀬、南畑、みずほ台、水谷東の各地域の概要ページを設け、その地域の公共施設、関連施策・事業等のページへリンクする。

【現状評価】

各地域についてのページは見当たらない。富士見市総合計画第4次基本構想(平成13(2001)〜22(2010)年度)の基本理念の一つに「身近な地域からのまちづくり」が掲げられているが、その地域の現状、課題等について、認識を共有できるような情報提供が必要である。

●主体系列的観点−行政・情報作成者の視点−

市の各機関・組織の関連情報にアクセスしやすいようにする。部・課等、各組織の概要ページを設け、所管する施策・事業等のページへリンクする。担当部署がわかっている場合は、そこから探す方が早いこともある。

【現状評価】

6月1日の全面リニューアル後、組織別索引(www.city.fujimi.saitama.jp/40shisei/10soshiki/)が設けられた。7月11日現在、秘書室秘書広報課のページのみだが、整備する方向なのは評価できる。市長の部屋へようこそ(www.city.fujimi.saitama.jp/05mayor/)を含め、執行機関(市長部局・行政委員会)の組織だけでなく、議事機関(議会)、附属機関等(審議会等)や別法人(外郭団体、一部事務組合、広域連合等)へもリンクした方がよい。

●主体・主題系列的観点−市民・利用者の視点−

市公式サイトの利用者を三つに類型化し、そこから求められるものを示すと次のとおりである。

(1)市内外の人に対し、市の概要、魅力等を伝え、その調査、観光、出張等に資する。また、市内への転入・企業の移転等を促す。

(2)行政サービスの受け手・顧客たる市民のための電子窓口として、行政手続き・サービス情報を提供し、その場で手続き等を可能とする。

(3)主権者・まちづくりの担い手たる市民に対して行政運営情報を公開し、市民参加の場を提供する(オープンガバメント)。

個別・具体のコンテンツは、これら三つのいずれかに明確に分類できるものではなく、複合的な性格を帯びることもある。

例えば、教育委員会のサイトを設計・構築する場合、その組織、政策・事業等に関することは、主として(3)の観点によるが、教育委員の公募等は市内外に人材を求めるため(1)でもあり、就学援助制度の案内等は(2)である。また、教育機関の施設、事業等に関することは、主として(2)の観点によるが、各学校については、サービス対象たる児童・生徒のためというより、その保護者、地域住民等への情報公開という(3)の観点によるのが通例である。資料館、史跡等については、市内外へPRするため(1)の性格も少なくない。

【現状評価】

全面的にサイト構造が改められたが、内容は、おおむね以前のものを継承しており、以前からの不備や悪化した点がある。

(1)市内外の人に対し、市の概要、魅力等を伝え、その調査、観光、出張等に資する。また、市内への転入・企業の移転等を促す。

(1)の観点では、市の概要等について、市のプロフィール(www.city.fujimi.saitama.jp/40shisei/02profile/)が提供されている。トップページの下の方にそこへのリンクがあり、上の方にあったリニューアル前と比して、ややわかりづらくなった。以前は別立てであった統計資料を統合したのは評価できる。他の自治体との比較データを掲載したり、数表だけでなくグラフ化したりして、「数字で見る富士見市」として拡充することが望ましい。

「富士見市のプロフィール」は、おおむね以前と同じ内容であるが、そのページの目次が削除され、一覧性が低下した。また、市勢要覧『富士見市制施行30周年記念要覧』『富士見市制施行35周年記念要覧』等がなく、アーカイブ性も低い。

「どこにあるの? 市の位置」で、埼玉県内における位置、市全体の概略図を示した後、ふじみまっぷ(www.city.fujimi.saitama.jp/50fujimimap/)へのリンクを加え、市内のどこに何があるかわかる詳細な地図情報を提供する。

「ふじみまっぷ」は、title要素は「富士見マップ」、パンくずリストやサイトマップは「ふじみマップ」、見出しやトップページは「ふじみまっぷ」と表記が不統一である。公共施設ごとにGoogleマップへリンクするだけでなく、『富士見市民便利帳』添付の『富士見市ガイドマップ』等、市が作成したものも掲載する。個々の公共施設の場所ではなく、その全市的な分布状況を見る場合は、こちらの方が適している。また、「富士見市農業マップ」「商店会の分布図」等、サイト内に散在する主題図へもリンクする。

「富士見市の歴史は?」で、自治体としての富士見市の年表が町村時代を含め掲載されているが、前近代を含めた市史を提供する、富士見市の歴史と文化財(www.city.fujimi.saitama.jp/35miru/01kyouiku/syougaigaku/2010-0423-1925-137.html)へのリンクを加える。

富士見市のゆるキャラ(イメージキャラクター・マスコットキャラクター)についても、今後、情報提供していく必要がある。

「イベント情報」「市内のみどころ」等が、観る・楽しむ・学ぶ(www.city.fujimi.saitama.jp/35miru/)へ統合された。市の魅力を伝えるコンテンツ群が一応、集約・整理されたのは評価できるが、「教育委員会」という組織単位を下位項目に位置付けたのはいささか奇異である。しかも、教育委員会(www.city.fujimi.saitama.jp/35miru/01kyouiku/)と富士見市教育委員会(www.city.fujimi.saitama.jp/15kyoiku/)があり、それぞれのページに、おおむね同じ内容のものがあるのは無駄である。

また、以前は、「富士見市のプロフィール」で市の概要を示し、「市内のみどころ」等へリンクし、詳細を展開していたが、両者の関係、論理展開が曖昧になった。

平成23年4月1日採用の職員を募集します(www.city.fujimi.saitama.jp/20kurashi/06sangyou/saiyou/2010-0701-1604-126.html)、ふるさと納税制度(www.city.fujimi.saitama.jp/40shisei/12furusato/)については、市内外に呼びかけるものとして(1)の観点からもとらえられる。

(2)行政サービスの受け手・顧客たる市民のための電子窓口として、行政手続き・サービス情報を提供し、その場で手続き等を可能とする。

(2)の観点では、「市民便利帳」として行政手続き・サービス情報を提供していたが、くらしのガイド(www.city.fujimi.saitama.jp/20kurashi/)、健康・福祉・子育て(www.city.fujimi.saitama.jp/25kenko/)、施設情報(www.city.fujimi.saitama.jp/30shisetsu/)に切り分けられた。

FAQよくある質問(www.city.fujimi.saitama.jp/65faq/)を設けたのはよいが、例えば、くらしのガイドの「戸籍の届出」からも「戸籍のFAQ よくある質問」へリンクした方がよい。なお、回答中の「ご用意してください」は誤った敬語表現である。「ご用意ください」「用意してください」等が正しい。

各ページに連絡先として電話番号だけ掲載しているようでは、電子自治体失格である。各課への問い合わせ(www.city.fujimi.saitama.jp/45online/03toiawase/)の担当課への電子メール送信フォームへリンクし、メールで問い合わせやすくする必要がある。また、迷惑メール等の問題はあるが、送信フォームを利用できない環境の人のために、メールアドレスを掲載することが望ましい。

電子申請(www.city.fujimi.saitama.jp/45online/2010-0514-0904-148.html)の「電子申請・届出について」に「注意:住民票の写しの請求など、証明書の受け取りや手数料の支払いは、当面の間、市役所などの窓口に来ていただく必要があります。」とあるが、住民票の写し等は、電子自治体化以前から郵便で請求可能である(郵送による申請方法 www.city.fujimi.saitama.jp/20kurashi/02todokede/2010-0510-1745-138.html)。また、「過去の電子申請受付件数」は、(3)の観点からは必要であるが、(2)の観点では冗長である。関連予算の積算内訳、受付1件当たりの費用等を加え、別ページで提供した方がよい。

出前講座(富士見市協働によるまちづくり講座)(www.city.fujimi.saitama.jp/40shisei/04gyouseizaisei/2010-0514-1737-138.html)、富士見市市民人材バンク(www.city.fujimi.saitama.jp/35miru/01kyouiku/syougaigaku/2010-0423-1742-137.html)等、情報・知識・学習機会の提供サービスについては、その開催告知や申し込み手続きだけでなく、教材等もサイトで提供し、その場でサービス自体を受けられるようにする必要がある(eラーニング)。インターネット市民塾等の名称で全国各地に市民と行政の協働による取り組みが見られる。

入札・契約情報(www.city.fujimi.saitama.jp/40shisei/17nyuusatsu/)については、「入札監視委員会」等を除き、事業者向け(www.city.fujimi.saitama.jp/60jigyo/)の情報提供、市の取引先となる事業者のための電子窓口といえる。また、市内外に募るという点で(1)の性格も帯びている。

(3)主権者・まちづくりの担い手たる市民に対して行政運営情報を公開し、市民参加の場を提供する(オープンガバメント)。

(3)の観点では、市政・まちづくり(www.city.fujimi.saitama.jp/40shisei/)におおむね集約・整理された。しかし、その目次は、やや錯綜している。例えば、次のように分類・整理できる(未掲載項目を含む)。

(市政通論的項目)

組織・職員 機構図、組織機構改革、組織別索引、外郭団体・関連法人、幹部職員名簿、職員採用、職員研修等。
庁内会議 庁議、政策会議等。

条例・規則 例規集、制定改廃速報、自治基本条例、政策法務等。
方針・計画 総合計画(基本構想・基本計画・実施計画)、施政方針、部局運営方針、分野別の基本計画等。
行政評価 政策評価、事務事業評価、業務仕分け、事業仕分け、行政監査等。
財政・予算 財政制度、中長期展望、予算、会計・契約・入札、指定管理者制度、決算、決算審査等。

行政経営改革(行財政改革)
情報政策 電子自治体、公式サイト運営状況、広報紙・行政資料刊行状況、情報公開・個人情報保護制度運用状況等。
市民参加 説明会・公聴会等、審議会等、市長への手紙・ファックス・メール、選挙、市民投票、市民意見提出手続(パブリックコメント)、市民意識調査、アンケート、電子掲示板等。
協働事業 外部協定、協働事業の取り組み等。
地域政策(身近な地域からのまちづくり)

(市政各論的項目)

都市計画・基盤整備、経済・産業、コミュニティ・共生・福祉、生涯学習・教育・文化・スポーツ、自然・環境等、各分野ごとの計画、実績、市民参加・協働の取り組み等。

「方針・計画」では、計画等の全文だけでなく、その策定過程、進捗状況、実績・評価等もわかるようにする。「条例・規則」「財政・予算」もこれに準ずる。

「行政評価」では、計画等に掲げられた施策・事業体系とは別の視点・枠組みからの評価を掲載する。例えば、課業分担表に掲げられた事務事業体系に沿って評価した業務仕分け等である。行政監査は、地方自治法第199条第2項に基づくものである。

現状では、条例、計画、予算等の政策形式別の視点や、審議会、パブリックコメント等の参加形態別の視点からはアクセスできても、主題別の視点からアクセスするのは容易ではない。例えば、子育て支援について、どの審議会でどのような計画案が検討がされ、パブリックコメントでどのような意見が出され、計画全文はどのような内容に決定され、その計画の進捗状況、実績・評価はどのようになっているのか、という視点からは、効率的にアクセスし難く、そもそも市政の運営システムにある程度通じていなければ利用は困難である。

また、(2)の観点による「くらしのガイド」「健康・福祉・子育て」等から(3)の観点による「市政・まちづくり」等への架橋も必要である。例えば、子育て支援に関する計画案検討段階において、子育て(www.city.fujimi.saitama.jp/25kenko/07kosodate/)等でも、参加を呼びかけ、その計画についてのページへリンクする。

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