富士見市第5次基本構想への提言

提供開始:平成22年(2010年)11月1日

平成22年10月8日、富士見市総合計画 第5次基本構想・前期基本計画のパブリックコメントへ提言。

Webでの提供にあたって
電子自治体基本構想
白熱電球の撤廃
町会等の改革と支援

●Webでの提供にあたって

これは、平成22年(2010年)10月8日、富士見市総合計画 第5次基本構想・前期基本計画(案)についてのパブリックコメントとして、富士見市総合政策部政策財務課へ提言したものです。

なお、白熱電球の撤廃↓の中で、市へ提出したものは「電球型蛍光灯」と表記していますが、これを「電球形蛍光灯」と改めました(前者の表記も誤りではありません)。

●電子自治体基本構想

*第5次基本構想・前期基本計画(案)の該当ページ:第3部第6章ほか全般。

20世紀末から21世紀にかけての情報通信技術革命は、社会・経済に歴史的・構造的な変化をもたらしつつある。物心つく頃からパソコン、ケータイ等の情報通信機器に触れているデジタルネイティブ世代(おおむね平成世代)が成人を迎えつつある中、今後10年を展望する第5次基本構想は、電子自治体基本構想としての側面をもつ必要があろう。

今後、ますます、市と市民・社会とのインターフェースである市公式サイトに対する評価が、市政に対する評価に直結するようになる。

第3部第6章第1節4(4)情報提供の充実(161頁)で、ホームページアクセス件数の数値目標が掲げられているが、その定義が不明である。サイト全体かトップページのみか、ページビューかビジットかによって大きく異なる。そもそも、市と市民との情報共有化の指標として、アクセス数がどこまで有効か疑問である。アクセスの多くが他の自治体職員、研究者その他市外の人の可能性もあるからである。

市民意識調査で、ホームページの満足度についても質問しているが、わからないが半数を占めている。市公式サイトを利用したことがあるか、どの程度の頻度で利用しているか、どこを見ているか等について、別途、調査が必要である。

市公式サイトについては、昨年7月の事業仕分けで、事業仕分け人から、コンテンツが乏しい、広報紙との役割分担が不明確等の評価を受けている。今年6月に全面リニューアルされたが、内容は、おおむね以前のものを継承しており、以前からの不備や悪化した点がある。具体的には、富士見市公式サイトのあり方(2010年7月)等で、担当課等へ提言しているところである。

その中でも述べているが、出前講座(富士見市協働によるまちづくり講座)等、情報・知識・学習機会の提供サービスについては、その開催告知や申し込み手続きだけでなく、教材等もサイトで提供し、その場でサービス自体を受けられるようにする必要がある(eラーニング)。

学校教育においては、教科書が携帯情報端末で提供される可能性を視野に入れ、デジタル副教材、効果的な指導方法等の研究開発を進める。

イベント、講座等の参加者アンケートは、紙によるだけでなく、ケータイ対応のフォームを用意しておき、その場で、又は、後刻、参加者が送信できるようにする。アンケート結果は、数日中に集計し、サイトで公開する。

市民参加の電子化、アナログとデジタルとのハイブリッド化についても、実験的な取り組みを積極的に展開していく必要がある。

例えば、電子審議会等であり、いくつかの形態が考えられる。

一つは、従来型の審議会等の委員の一部を電子委員とし、原則として、会議には出席せず、サイトで会議録・会議資料を閲覧し、メールで意見等を出し、会議上でその意見等を紹介する。

もう一つは、委員の全部を電子委員とし、サイトで会議資料を閲覧し、電子掲示板、メーリングリスト等で意見交換する。

あるいは、同一の所管事項について、従来型の審議会等と全部が電子委員の審議会等とを併置し、それぞれで検討し、必要に応じ、双方の意見交換を行う。

不特定多数の市民が参加できる電子公聴会も開催する。投稿が常時可能か特定の期間のみか(常時型/臨時型)、話題は市政全般か特定の課題のみか(一般型/特定型)等により、様々な形態が考えられる。

従来型の審議会、公聴会等は、特定の日時に特定の場所で開催されるため、参加が困難な人も少なくない。電子化することにより、インターネット接続環境があれば、いつでもどこでも参加が可能となる。

法人たる富士見市の電子化・ハイブリッド化と同時に、地域たる富士見市、地域社会としての富士見市の電子化・ハイブリッド化も重要である。これは、市主導よりも、市民主導、市と市民との協働がよい。1990年代後半、パソコン通信で情報交換・交流を進めた「ふじみ-ねっと」は、その先駆的な例である。近年の状況に照らせば、地域ソーシャルネットワーキングサービス(地域SNS)の構築等が考えられる。

(参考事例)財団法人地方自治情報センター「平成18年度電子自治体ベストプラクティクス」から3件

Web2.0を先取りした住民参加型ポータル
www.lasdec.nippon-net.ne.jp/its/bestpractice/advance/c1.html
2002年〜、岩手県紫波郡紫波町(www.town.shiwa.iwate.jp/)。

Web利活用による電子町内会で地域コミュニティの活性化を図る
www.lasdec.nippon-net.ne.jp/its/bestpractice/original/n1.html
2002年10月〜、市民情報化サイト(岡山市電子町内会・連合町内会)(townweb.e-okayamacity.jp/)。

地域SNSが可能にしたコミュニティの再生
www.lasdec.nippon-net.ne.jp/its/bestpractice/original/p1.html
2004年度〜、熊本県八代市、ごろっとやっちろ(www.gorotto.com/)。

●白熱電球の撤廃

*第5次基本構想・前期基本計画(案)の該当ページ:第3部第5章第3節4(3)温室効果ガス削減対策の推進(130頁)

地球温暖化対策のため、公共施設で使用している白熱電球は、特殊な用途を除き、撤廃し、電球形蛍光灯やLED電球に交換する。案では防犯灯LED化については明示しているが、その他の照明については定かでない。また、市民に対しても、白熱電球の早期撤廃を呼びかける。

2008年4月、経済産業省が、2012年(平成24年)を目途に、白熱電球の製造・販売をやめるよう求め、大手メーカーも、これに呼応し、製造中止・縮小を進めているところである。

●町会等の改革と支援

*第5次基本構想・前期基本計画(案)の該当ページ:第3部第6章第1節4(3)町会活動の支援(160頁)等

町会、自治会等、地縁による団体(以下「町会等」という)は、身近な地域からのまちづくりに取り組む民間団体、住民自治組織であり、特に権限や財源はないが、「零細自治体」といえる。

町会長・副町会長は、富士見市町会長及び副町会長設置規則により、非常勤・特別職の職員として委嘱されている。民間団体でありながら、そのトップは公務員であるという奇妙な制度である。かつて、自治体の首長を大臣の下部組織に位置づけていた機関委任事務をほうふつさせる。住民自治組織を半官半民化・下部組織化するような委嘱制度は、廃止すべきである。

各町会等においては、単純に二者択一できるものではないが、「大きな政府/小さな政府」論と同様、身近な地域からのまちづくりを積極的に担っていく「大きな町会等」をめざすか、最小限の活動にとどめる「小さな町会等」をめざすか、議論するとよい。

町会等が自発的な活動に十分な労力・時間を確保できるよう、市は、町会等への依頼、委託業務を全面的に見直し、精選する。また、市は、「○○一丁目をきれいにする会」のような特定地域の特定課題に取り組む団体の結成・活動の奨励等、町会等がその活動をアウトソーシングしたり、他の町会等、NPO・市民団体、企業等と協働したりできるよう支援する。

加入率向上や活動の活性化には市政への市民参加推進と同様の困難さを伴うが、市と同様、先例踏襲の旧態依然とした運営から脱却し、その活動の全面的な見直し(事業仕分け)と不断の改革・改善、その電子化・アナログとデジタルとのハイブリッド化による運営の透明化、情報の共有・住民参加・協働の原則による運営が必要である。役員の後継者不足の問題は、組織改革により、役員を増員し、役員一人当たりの業務量を最小化して、より多くの会員で分担する。

また、町会等運営における男女共同参画の推進を啓発・推奨する。56町会の町会長・副町会長112名のうち、女性は若干名にとどまる。委嘱制度の下では、審議会等委員同様、女性比率の数値目標を設定する。

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