高等学校公民科「公共」素案

提供開始:平成27年(2015年)11月30日

平成27年11月30日、文部科学省初等中等教育局教育課程課へ提言。

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●この案について

この案は、平成27年(2015年)11月30日、文部科学省初等中等教育局教育課程課へ提言したものです。記述が不十分であり、大学生向きの感もありますが、「平和で民主的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養」い(高等学校学習指導要領公民科の目標)、「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する」(教育基本法第2条第3号)ため必要な内容と考えます。

どなたか教材の開発、Webでの提供をお願いいたします。

市民教育の一環として、義務教育、大学教育、社会教育等でも、この内容を取り入れることを推奨します。

「公共」(仮称)については、高等学校公民科「公共」検討状況(2015年11月)をご参照ください。

●概要

この科目は、「学習・メディア」、「社会・生活」、「経済・経営」、「政治・行政」の四つの内容で構成され、この順序で取り扱うことが望ましい。

「学習・メディア」では、高大接続、生涯学習等の観点から、学習・調査研究の方法として図書館や大学の利用があること、学習・調査研究における留意点等を理解させる。

「社会・生活」では、社会の多様な構成主体との共生や協働の必要性、消費者・労働者の取引の安全と円滑等の観点から社会問題等を理解させる。従来の科目で経済分野に位置づけられているものを含む。

「経済・経営」、「政治・行政」では、従来の科目よりも、経営・ビジネス、行政・地方自治の観点や実践性を重視している。「まちづくりの実際」は、アクティブ・ラーニングの最たるものである。

この科目全体を通じて、権力(政治権力に限らない。以下同じ。)は腐敗しやすいこと、権力の独善や暴走を防ぐため監視・牽制(けんせい)が必要なことを理解させ、監視・参画に必要な能力と態度を育てる。

学習・メディア
ア 知の体系と図書館
イ 大学と研究者倫理
ウ マスメディアとメディアリテラシー

社会・生活
ア 社会の多様な構成主体の共生と協働
(ア)多様な法人等とその活動
(イ)多様な人間との共生と協働
イ 生活安全・消費者問題
ウ 生活リスクと社会保険
(ア)医療と医療保険
(イ)生活支援と介護保険
(ウ)年金保険
エ 雇用・労働問題

経済・経営
ア 会社と社会
イ ビジネスの知恵
ウ データで見る経済

政治・行政
ア 中央政府と地方政府
イ 選挙と議会
ウ 行政情報の公開とオープンガバメント
エ まちづくりの実際
オ 警察・検察と司法
カ 外交・安全保障と国際政治

●学習・メディア

ア 知の体系と図書館

政治・経済・社会・文化・自然の諸事象を解明するため、社会科学・人文科学・自然科学の諸学問が発達している。高等学校では、その成果を基に、公民科、地理歴史科、理科等の各教科に属する科目を学ぶ。21世紀は、新しい知識・情報・技術が活動の基盤として重要性を増す、知識基盤社会の時代であるといわれる。社会の変化に主体的に対応し、活力ある社会を築いていくためには、生涯にわたる学習が必要である。

図書館の図書分類法は、学問の分類に出版状況等を加味し、あらゆる情報・知識を体系化したものである。情報通信技術革命の進展とともに、図書館は、紙媒体、電子媒体を問わず提供するハイブリッド図書館に進化しつつある。

(内容の取扱い)

未知の分野にも目を向け、視野を広げることを奨励する。

知の全体構造を可視化したものとして日本十進分類法(NDC)を扱い、第1次区分表(類目表)程度は把握させる。NDCは20世紀前半の知の体系といえる面もあるが、我が国の公共図書館、学校・大学図書館の多くで使用されており、それを把握しておくとブラウジングの際にも有用である。

国語科、情報科などとの関連を図りながら、この科目全体を通じて、図書館利用教育(情報表現法指導を含む。)を行い、学習・調査研究に必要な能力と態度を育てる。随時、この科目の内容に関連するNDCの分類項目、図書、Webサイト等を提示し、自発的・発展的な学習を促す。

この科目全体を通じて、社会を構成する多様な人々、例えば、大学院生・研究者、ジャーナリスト、NPO・市民団体関係者、障害者、在日外国人、企業経営者・ビジネスパーソン、議員・行政職員・法律家等から生徒が直接、話を聴く機会(テレビ電話等によるものを含む。)を随時、設けることが望ましい。教員の負担を軽減するため、教育委員会事務局にあっせん窓口「生きている図書館」(Living Library/Human Library)を設置する。窓口を通さず、教員又は生徒が直接、依頼することを妨げるものではない。

(参考)

公益社団法人日本図書館協会 図書館利用教育委員会
図書館利用教育ガイドライン −学校図書館(高等学校)版− www.jla.or.jp/portals/0/html/cue/gl-s.html
www.jla.or.jp/portals/0/html/cue/gl-s.pdf
1998年8月(1999年9月第3刷)、全20頁。

イ 大学と研究者倫理

大学は、学問の研究・教育の中心機関である。通学課程のほか、通信教育課程、公開講座等でも学ぶことができる。科学技術の研究開発は、政府、企業等の研究開発機関でも行われている。

研究活動において、捏造(ねつぞう)、改ざん、盗用等は、研究者生命を絶たれかねない不正行為である。学生のレポート・論文作成等においても同様である。

(用語)大学ポートレート シラバス 科目等履修生 放送大学 オープンコースウェア MOOC(Massive Open Online Courses) 科学技術(基礎科学・応用科学・技術) 研究開発(基礎研究・応用研究・開発研究) 科学者の行動規範

(内容の取扱い)

高等学校を卒業後、大学に入学し通学して学ぶほかにも大学の利用法があること、高等学校在学中でも利用できる場合があることを理解させる。大学出願時までに志望する学部・学科等を決める必要があることが多いため、高等学校在学中に幅広い学問分野に触れておくことが望ましい。今後の学習の指針として、科学技術の智、学士力、社会人基礎力等にも触れる。

学習には、学ぶべきことが明確であり、正解があるもの(受験生的学習)と、唯一の正解があるとは限らず、そもそも何を学ぶべきかも自明ではないもの(研究者的学習)とがあることを理解させる。

将来、研究職に就く生徒は限られるであろうが、学生・社会人の調査研究活動(趣味的・娯楽的なものを含む。)においても著作権の尊重や正確な情報の提供が望まれるので、すべての生徒が研究者倫理を学ぶ意義がある。

発展的な学習として、大学教育の歴史や在り方、学術・科学技術の在り方等を扱うことが考えられる。

(参考)

国立研究開発法人科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター
科学技術の智プロジェクト www.jst.go.jp/csc/archive/s4a.html
21世紀の科学技術リテラシー像〜豊かに生きるための智〜プロジェクト 総合報告書 www.jst.go.jp/csc/pdf/s4a00.pdf
2030年までに「すべての大人が身に付けてほしい科学・数学・技術に関係した知識・技能・物の見方」を数理科学、生命科学、物質科学、情報学、宇宙・地球・環境科学、人間科学・社会科学、技術の七つの領域の形で提案。平成20年(2008年)6月(2010年8月訂正)、全251頁。事務局は、文部科学省国立教育政策研究所、内閣府日本学術会議、国際基督教大学で構成された。

内閣府 日本学術会議 科学者の行動規範 www.scj.go.jp/ja/scj/kihan/
声明 科学者の行動規範−改訂版− www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-s168-1.pdf
平成18年(2006年)10月3日制定、平成25年(2013年)1月25日改訂、全13頁。

文部科学省 研究活動における不正行為への対応等 www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fusei/
研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/08/__icsFiles/afieldfile/2014/08/26/1351568_02_1.pdf
平成26年8月26日、文部科学大臣決定、全31頁。平成27年4月1日から適用。

ウ マスメディアとメディアリテラシー

新聞、テレビ等のマスメディアには、情報・知識、娯楽等を提供する役割のほか、取材・報道を通じて政府、企業等を監視・牽制(けんせい)する役割もある。真実に迫るジャーナリズムは、真理を追究する学問とは違った形の知へのアプローチといえる。同じ出来事であっても、立場によって捉え方や表現の仕方が異なることがある。

(用語)記者クラブ 発表ジャーナリズム(発表報道) 調査報道 クリティカル・シンキング(批判的思考)

(内容の取扱い)

時として、ジャーナリズムの公共性と商業性とが矛盾を来すことがあること、誤報や捏造(ねつぞう)があることにも触れる。

●社会・生活

ア 社会の多様な構成主体の共生と協働

社会は、多様な法人その他の団体(以下「法人等」という。)と個人で構成される。法人等による組織的な活動が大きな役割を果たしている。異質な他者を理解し、協力する必要がある。

(ア)多様な法人等とその活動

法人等の意義、主な種類と活動。

(用語)公法人 会社 社団 財団 一般法人 公益法人 理事会 非営利組織(NPO) 特定非営利活動法人(NPO法人) 町内会・自治会 商工会議所・商工会 社会福祉法人 学校法人 (法人の)登記

(イ)多様な人間との共生と協働

戸籍等の個人の記録制度、人口統計等。乳幼児から高齢者までの発達段階に応じた特性、性差の多様性、障害の状態に応じた特性、在日外国人等の民族的・宗教的多様性、多様な人間とのコミュニケーションやコラボレーションの技法等。

(用語)住民基本台帳 住民票 マイナンバー(社会保障・税番号) 国勢調査 統計に用いる標準地域コード 全国地方公共団体コード 住民基本台帳人口 人口動態調査(人口動態統計) 少子高齢社会 人口減少社会 ジェンダー LGBT(Lesbian Gay Bisexual Transgender) 男女共同参画社会 注意欠陥・多動性障害(ADHD) 高次脳機能障害 ノーマライゼーション ダイバーシティ アサーション ファシリテーション 能動的フォロワーシップ

(内容の取扱い)

公法人は「政治・行政」、会社は「経済・経営」で主に扱う。

家庭科などとの関連を図りながら、多様な人間を理解させる。その際、障害等の特性には個人差があることに留意させる。差別、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス(DV)、カルト、マインドコントロール等にも触れる。多様な人間とのコミュニケーションの技法として、うつ病・抑うつ状態の人との接し方、認知症で徘徊(はいかい)中の可能性がある人との接し方、色覚障害への配慮(カラーバリアフリー)等にも触れる。

(参考)

文部科学省 高等学校家庭科 指導資料 www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/1333132.htm
平成25年3月。

イ 生活安全・消費者問題

(用語)防犯カメラ 特殊詐欺 道路交通法 自転車運転者講習 個人情報保護法 サイバー犯罪 消費者基本法 消費者契約法 製造物責任法(PL法) 特定商取引法 資金決済法 預金保険法 金融商品取引法 食品表示法 食品トレーサビリティ 地産地消 グリーンコンシューマー 電力自由化 国民生活センター 消費生活センター

(内容の取扱い)

保健体育科、家庭科、情報科などとの関連を図りながら、生活者の生命・身体・財産の安全、交通の安全と円滑、情報セキュリティ、消費者の取引の安全と円滑等の観点から社会問題等を理解させる。高等学校の生徒等が特殊詐欺等に関与した事例にも触れる。

ウ 生活リスクと社会保険

(ア)医療と医療保険

(用語)セルフケア(セルフメディケーション) 要指導医薬品 一般用医薬品(第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品) 医薬品副作用被害救済制度 病院 診療所 医療法人 かかりつけ医 インフォームドコンセント セカンドオピニオン 診療録(カルテ)開示 医療事故調査制度 (企業活動と医療機関等の関係の)透明性ガイドライン 医薬分業 処方せん 薬局医薬品 後発医薬品(ジェネリック医薬品) 保険者 被保険者 国民健康保険 健康保険 全国健康保険協会 健康保険組合 共済組合 後期高齢者医療制度 診療報酬明細書等(レセプト)開示 保険診療 保険外診療(自由診療) 混合診療 高額療養費制度

(イ)生活支援と介護保険

(用語)介護予防 地域包括ケアシステム 地域包括支援センター 介護認定審査会 要介護状態 要支援状態 介護給付 予防給付 訪問介護 訪問看護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリテーション 短期入所生活介護(ショートステイ) 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 介護老人保健施設

(ウ)年金保険

(用語)国民年金(基礎年金) 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 国民年金基金 厚生年金 老齢厚生年金 障害厚生年金 遺族厚生年金 厚生年金基金 確定給付企業年金 確定拠出年金 日本年金機構

(内容の取扱い)

保健体育科、家庭科などとの関連を図りながら、生活の質(QOL)、消費者の取引の安全と円滑等の観点から医療・介護や社会保険を巡る全体構造を理解させる。救急車の適正利用、保険会社等による医療保険、介護離職、サービス付き高齢者向け住宅、介護保険外の介護・生活支援サービス、保険会社等による年金保険・生命保険、社会保険の財政状況等にも触れる。

エ 雇用・労働問題

(用語)公共職業安定所(ハローワーク) ジョブカフェ 有効求人倍率 完全失業率 雇用のミスマッチ エンプロイアビリティ OJT(on-the-job training) Off-JT(off-the-job training) 専門職業大学(仮称) 専修学校(専門学校等) 各種学校 職業能力開発校 職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ) 職業能力開発促進センター(ポリテクセンター) 労働基準法 労働基準監督署 労働契約法 男女雇用機会均等法 労働者 使用者 就業規則 労働契約(雇用契約) 非正規雇用 パートタイム労働法 派遣労働 労働者派遣法 ブラック企業 最低賃金 基本給 手当 賃金構造基本統計調査 毎月勤労統計調査 労働時間 休憩 休日 三六協定 有給休暇 育児・介護休業法 労働安全衛生法 労働災害 労働者災害補償保険 健康診断 ストレスチェック制度 労働協約 企業別労働組合 産業別労働組合 合同労働組合 労働審判 雇用保険 職業訓練受講給付金

(内容の取扱い)

保健体育科などとの関連を図りながら、労働者の取引の安全と円滑等の観点から雇用環境、社会問題等を理解させる。生活保護、生活困窮者自立支援制度等にも触れる。職務内容その他の組織構成員等としての観点は、「経済・経営」等で主に扱う。

(参考)

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関(「専門職業大学」「専門職大学」)の制度化が検討されているところである。

文部科学省 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議
「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について(審議のまとめ)」の公表について www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gaiyou/1356314.htm
実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について 審議のまとめ www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gaiyou/__icsFiles/afieldfile/2015/04/15/1356314_1.pdf
平成27年3月27日、全54頁。

文部科学省 中央教育審議会 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会 www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo13/
平成27年5月15日、第1回。

●経済・経営

ア 会社と社会

株式会社等の企業経営の仕組み、社会との関係等。

(用語)経営戦略 経営資源 ヒト・モノ・カネ・情報 イノベーション 株主総会 取締役会 社外取締役 監査役 監査法人 合同会社 トップマネジメント ミドルマネジメント ロワーマネジメント 職能別組織 事業部制組織 子会社 持株会社 組織風土(企業風土) ダイバーシティ・マネジメント コーポレートガバナンス(企業統治) 企業の社会的責任(CSR) ステークホルダー コンプライアンス(法令遵守) 公益通報 ディスクロージャー(企業内容開示・情報開示) アカウンタビリティ(会計責任・説明責任) IR(Investor Relations) 社会的責任投資(SRI) 環境・社会・ガバナンス(ESG) 株主代表訴訟 ソーシャルビジネス コミュニティビジネス 社会起業家 プロボノ

(内容の取扱い)

企業の規模等により事情が異なることに留意させる。

職能、例えば、秘書、総務、人事、経理、広報、営業、マーケティング、研究開発(R&D)、製造、販売、宣伝・販売促進等の違いや、職業能力評価基準等にも触れる。

(参考)

厚生労働省 職業能力評価基準について www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/syokunou/

中央職業能力開発協会 職業能力評価基準のご案内 www.hyouka.javada.or.jp/

イ ビジネスの知恵

企業経営・ビジネス実務で用いられる論理的思考法、問題解決の技法等(ビジネスフレームワーク)。

(用語)モレなくダブりなく(MECE) ロジックツリー 5W1H(When・Where・Who・What・Why・How) 三現主義(現場・現物・現実) 暗黙知・形式知 見える化(可視化) KJ法 マインドマップ 特性要因図 ポジショニングマップ PDCA(Plan・Do・Check・Action) QCD(Quality・Cost・Delivery) 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)) ムリ・ムダ・ムラ 報連相(報告・連絡・相談) パレートの法則(20:80) ハインリッヒの法則(1:29:300) 3C(Customer・Competitor・Company) SWOT(Strength・Weakness・Opportunity・Threat) 4P(Product・Price・Place・Promotion)

(内容の取扱い)

汎用性の高いもの、企業経営・ビジネス実務に関する基礎的・基本的事項の理解に資するものを扱う。公共図書館等のビジネス支援にも触れる。

生徒の職業観の形成を促すため、普通科、理数科等の生徒にも、ビジネスマナー、ビジネス文書、簿記等に触れる機会があることが望ましいが、それについては、商業科等に属する科目やそれに類する学校設定教科に属する科目を履修できるようにすること等により対応する。

(参考)

ビジネス支援図書館推進協議会 www.business-library.jp/

ウ データで見る経済

主な経済指標、統計等。

(用語)日経平均株価 TOPIX(東証株価指数) (東京外国為替市場の)円相場 日銀短観(日本銀行「全国企業短期経済観測調査」) 消費者物価指数(CPI) 家計調査 国内総生産(GDP) 国民経済計算(GDP統計) 経済センサス

(内容の取扱い)

戦後の株価の推移、その変動要因など、経済のあゆみ、仕組み等にも触れる。

経済・社会を定量的に捉える能力と態度を育てるものであって、詳細な数値をいたずらに記憶させるものではないことに留意する。

●政治・行政

ア 中央政府と地方政府

(用語)三権分立 議院内閣制 自治体 二元代表制 大統領制 政令指定都市 特別区 一部事務組合 広域連合 地方六団体 独立行政法人 外郭団体 一般会計 特別会計 国税 地方税 地方交付税 ふるさと納税

(内容の取扱い)

国と地方公共団体とを比較しながら、その統治機構、収支構造、税制等を理解させる。地域自治区又はそれに類する仕組みによる自治の事例にも触れる。

イ 選挙と議会

(用語)一票の格差 政党・会派 政党交付金 政治資金規正法 法律 条例 本会議 委員会 全員協議会 文書通信交通滞在費 費用弁償 政務活動費 国会議員の資産等の公開 傍聴 請願・陳情 条例制定・改廃請求 議会解散請求 議員解職請求

(内容の取扱い)

国政選挙と地方選挙(首長選挙を含む。)、国会と地方議会をそれぞれ比較しながら理解させる。主な政治思想、地方議会における改革の事例等にも触れる。

ウ 行政情報の公開とオープンガバメント

(用語)電子政府 電子自治体 オープンデータ 情報公開法 情報公開条例 市民オンブズマン 特定秘密保護法 自治基本条例 パブリックインボルブメント(住民参画・市民参画) パブリックコメント(意見公募手続) 審議会等 国民投票 住民投票 協働によるまちづくり 指定管理者制度 PFI(Private Finance Initiative) 行政手続法 行政指導 処分等の求め 行政不服審査法 審査請求 首長等の解職請求 監査請求(事務監査請求) 住民監査請求 住民訴訟

(内容の取扱い)

国と地方公共団体とを比較しながら、行政情報の公開・提供、市民参加(国民・住民参加)、行政庁に対する不服申立て等を理解させる。

エ まちづくりの実際

現場型・会議室型の学習により、行政・地方自治を実践的に学ぶ。

(内容の取扱い)

現場型の学習は、例えば、議会を傍聴したり、街頭や紙媒体・電子媒体で議員の活動状況を調べたり、議員活動の在り方を議論したり、その成果を議員監視サイトとして公開したりさせる。あるいは、安全、バリアフリー、美観等の観点から道路、公園等を点検したり、利用者アンケートをとったりしたうえで、問題点や改善案を議論したり、まとめたりさせる。

会議室型の学習は、例えば、パブリックコメントが行われた自治体の総合計画(基本構想、基本計画等)や分野別の基本計画(例えば、都市計画マスタープラン、男女共同参画基本計画、地域福祉計画、子ども・子育て支援事業計画、教育振興基本計画、環境基本計画等)の案又は決定済みのものを読み込み、それに対する意見・提案、計画の改定案、計画を具現化する事業案等を議論したり、まとめたりさせる。

現場型の学習の成果を会議室型の学習に活かしたり、他の自治体と比較したり、全国的・国際的な問題との関連を調べたりさせ、地方創生・地域活性化につなげることが望ましい。

オ 警察・検察と司法

(用語)当番弁護士 取調べの可視化 検察審査会 最高裁判所裁判官国民審査 刑事訴訟 裁判員制度 仮差押え 仮処分 民事訴訟 民事調停 支払督促 保護命令 裁判外紛争解決手続(ADR) 日本司法支援センター(法テラス)

(内容の取扱い)

警察と検察の役割の違い、裁判所の役割等を理解させる。誤認逮捕された場合の対処方法、簡易・迅速な紛争解決方法等にも触れる。

カ 外交・安全保障と国際政治

(用語)環太平洋パートナーシップ協定(TPP) 国家安全保障会議 日米安全保障条約 在日米軍基地 思いやり予算 集団的自衛権 国際連合 非政府組織(NGO) 地球市民

(内容の取扱い)

国旗・国歌の意義等にも触れ、それらを相互に尊重することが国際的な儀礼であること、我が国の国旗・国歌に対しては否定的な捉え方もあることを理解させる。

(参考)

文部科学省 日本ユネスコ国内委員会 自然科学(第126回)及び人文・社会科学(第115回)合同小委員会 平成27年4月8日 参考資料
GCED:Global Citizenship Education(地球市民教育)について www.mext.go.jp/unesco/002/006/002/003/shiryo/attach/1356893.htm

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